「庭に勝手に入られて花壇を荒らされている」
「ガレージにおいてある車やバイクに傷をつけられた」
「SNSで身に覚えのない誹謗中傷を受けている」
このように、普段の生活の中で誰かに嫌がらせを受ける事ってありますよね。嫌がらせを受けた際、頼りになると感じるのが警察ですが、実際には「警察に嫌がらせ被害を相談したのに全然対応してくれなかった!!」という経験をされている方も多いかと思います。
なぜ、嫌がらせ被害では警察は動いてくれないのでしょうか。警察に嫌がらせ被害の対応をしてもらうためにはどのようにすればいいのでしょうか。また、どうしても警察が対応してくれない場合は他に相談できる専門家はいるのでしょうか。
今回は、嫌がらせに悩んだ場合、警察に対応してもらうためのコツや、警察が対応してくれなかった場合でもスムーズに解決するためのポイントをまとめてみましたので、参考にしてみてください。
この記事を読んでいただいている方の中には、「警察に嫌がらせ被害を相談したいと思っているけどどうやって相談すればいい?交番に行けばいいのかな?」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
警察へ相談すると一言で言っても大きく分けて3つの方法があります。まずは、警察への3つの相談方法とその違いについて見ていきましょう。
普段、なかなか警察に相談するという機会はないですよね。そうなると、「嫌がらせを受けているくらいで警察に相談したら迷惑かな・・・」とためらってしまう方も多いと思います。
そんなときに活用できるのが「警察相談専用電話#9110」です。嫌がらせ被害やストーカー被害を受けてはいるけれど、現段階ではまだ犯罪や事故の発生には至ってない場合に活用したい専用窓口です。全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながり、嫌がらせ被害などの相談に乗ってもらえます。
ここへ電話をかければ、相談業務を専門に担当している警察官や元警察官が、プライバシーの保護や心情に配慮しながら相談に対応してくれ、嫌がらせの相談内容によっては警察の別の専用相談窓口につないでくれたり、他の機関での対処が適切だと判断された場合は法テラスや消費生活センターなどを紹介してくれたりします。
自分が受けている嫌がらせにはどのような対応が適切か、緊急性があるのかなどを判断する上ではとても役に立つでしょう。
参考サイト:政府広報オンライン|警察に対する相談は警察相談専用電話 #9110へ
警察への相談方法として被害届を提出するという方法もあります。特に車やバイクに傷をつけられた、物を壊された、などの嫌がらせを受けた際はすぐに被害届を提出しておきましょう。
被害届の提出場所は管轄の警察署や交番で提出することができます。
被害届には、被害のあった日時と場所、 被害の状況と内容、犯人についてのわかっている範囲での情報などを書く必要がありますので、より正確に伝えるために嫌がらせを受けたらできるだけ早く提出しにいくのがお勧めです。
ただし、被害届を提出してそれが受理されたとしても必ずしも警察が対応してくれるとは限りません。被害届を受理しても、警察には捜査などの義務は発生しないのです。
とはいえ、嫌がらせの犯人が特定でき、損害賠償請求や告訴することを検討する際に、事前に警察に被害届出していたという事実が効力を発揮するタイミングがありますので、嫌がらせの被害に対して法的措置を考えている場合は被害届は提出しておくことをお勧めします。
3つ目の相談方法は刑事告訴です。告訴というと大げさに聞こえるかもしれませんが、警察に対応してもらう上でとても効果があります。告訴を受理してもらうことができれば、警察には事件処理の結果を通知する義務が生じるので、捜査などの対応を放置できなくなるためしっかりと対応してもらえます。
嫌がらせの被害が刑事罰に該当している可能性がある場合は、刑事告訴を検討してもいいでしょう。
ただし、嫌がらせ被害の証拠や犯人を特定するための証拠がなければ告訴が受理されないことも非常に多いため、刑事告訴を受理してもらいたい場合は、事前に探偵など調査のプロに相談して証拠収集をしてもらうことが重要です。
嫌がらせ被害に悩んでいる方の中には、これまでに何度も警察に相談しているのに全然対応してくれないと感じている方も多いのではないでしょうか。
先ほどの章でご紹介したように、警察に相談する方法はいろいろとありますが、相談したからと言って警察がすぐに対応してくれるというのは稀であるのが現状です。嫌がらせ被害に対して警察が積極的に動いて解決に向けて対応してくれるというのは難しいのです。
では、なぜ警察は嫌がらせ被害に対して積極的に捜査などの対応をしてくれないのでしょうか。ここではその理由を具体的に見ていきましょう。
警察は殺人事件や誘拐事件などの凶悪事件を優先せざるを得ません。それは、警察が全国的に常に人手不足だからです。そのため、より凶悪な事件やより被害の大きい事件に人員を割かなければならないため、一個人の被害である嫌がらせにはなかなか警察官を充てることができないのです。
このような場合は、同じような被害を受けている被害者同士で集まって被害を訴えることで、事件の大きさをアピールでき、警察が対応してくれる可能性も上がっていきます。
それでも警察が対応してくれない場合は、刑事事件としてではなく民事事件として考えて解決を図ることも可能です。その場合は弁護士に相談することになります。なお、弁護士に相談して民事事件として解決していく場合にも被害の証拠や犯人を特定する証拠が求められますので、弁護士への相談と合わせて探偵への調査依頼も進めておくと良いでしょう。
嫌がらせ被害に警察がなかなか動いてくれない理由として、犯人を特定するのが難しいということも挙げられます。
当たり前ですが、嫌がらせ行為は人目につかない時間帯や場所で行われます。そのため、犯人が誰であるのか想像でしかわからなかったり、犯人であると特定するための証拠がなかなか集められなかったりして人手不足の警察は動くに動けないのです。
また、最近ではSNS上での嫌がらせ行為も増えていて匿名のアカウントからの被害であるため犯人がまったくわからないという状況も増えています。
犯人が誰かわからなければ、告訴を受理することは不可能ですし、人員不足の警察が犯人探しの捜査をすることも難しいのです。
逆に言えば、犯人が特定できていてその証拠も掴めていれば警察も対応しやすくなりますので、警察の前にそのような調査を担当してくれる探偵に相談するのが早いでしょう。
嫌がらせ行為の中には、不法行為であることの証明が難しいケースも多くあります。
たとえば、「車に傷をつけられた」「庭に勝手に入ってゴミをばらまかれた」などの場合は、器物破損や住居侵入罪などの不法行為に該当し、犯人を特定すれば解決に向かいやすいのですが、「隣の部屋からの異臭が酷い」「騒音の嫌がらせに悩んでいる」という場合は不法行為であることの証明が難しいケースが多いです。
不法行為であることの証明ができなければ、警察は被害届を受理することすら難しくなってしまいます。悪臭や騒音の不法性を証明するためには、ニオイや音を客観的に計測してデータを取ったり、悪臭や騒音を発生させている人物の故意・過失を証明したりすることが必要になります。
そのような調査は素人ではほぼ不可能ですので、調査を専門としている探偵に加害者の行動調査を依頼して証拠を取ってもらうのがお勧めです。
告訴を受理すれば、警察は逮捕に向けて捜査をする義務が生まれることはすでにお伝えしましたが、仮に逮捕して裁判を起こし、それが冤罪であったと判断されれば、警察としては大問題でかなりの責任問題となります。
警察にとっては、冤罪だけは何としてでも避けたいと考えていますので、なかなか告訴を受理して積極的に対応することを渋ってしまうのです。
嫌がらせ被害ではなかなか警察に対応してもらうことが難しいというのはお伝えしていますが、ポイントさえ押さえれば、警察に対応してもらうことも可能です。
ここでは、嫌がらせ被害を警察に対応してもらうために知っておくべきことをまとめていきます。
警察が嫌がらせの加害者に関する捜査を行なう上で、被害届や告訴状の受理は必須です。「受理してもらえなかったら意味がないじゃないか」「告訴は受理されないことがほとんどでしょ」と思ってしまうかもしれませんが、被害届や告訴状の受理は警察にとっては捜査を開始する大前提です。
また、犯人に関する情報や逮捕するための証拠があれば受理してもらえる可能性は高くなります。
本来は何らかの犯罪に対して犯人を捜査したり、証拠を集めたりするのが警察の仕事ですが、嫌がらせ被害ではなかなか警察が捜査を行うことは難しいのが現状です。
そのため、警察の代わりに事前に自分が受けた嫌がらせ被害がどのような刑事罰に該当するのか説明できる情報を集めておきましょう。「このような被害を受けているので●●罪に該当する」、というような証拠があれば警察も対応しやすくなります。
警察に被害届や告訴状を受理してもらって対応してもらうためには、証拠収集が重要であるとお伝えしましたが、証拠集めはご自身で行うのは危険ですのでお勧めできません。
犯人を特定するための証拠や被害の証拠については、プロの探偵に依頼しましょう。
ご自身で証拠集めを行う際に犯人を触発してしまい、新たなトラブルに巻き込まれる危険性もありますし、証拠を集めるために、自分で犯人と思われる人物を尾行して監視することで逆に相手から名誉毀損やプライバシー侵害であると訴えられ、被害者であるはずのあなたが加害者になってしまうリスクもあるのです。
自分で証拠収集の調査をしてしまうと嫌がらせ被害の悪化や逆に自分が犯罪者になってしまうリスクが高まりますので、絶対に避けましょう。
嫌がらせ被害を警察に対応してもらうためのポイントを先ほどの章でお伝えしましたが、それでも警察が対応してくれないケースもあります。
そのような場合であっても泣き寝入りせず、他の専門家に相談しましょう。ここでは警察以外の頼れる相談先についてご紹介していきます。
騒音トラブルや異臭トラブル、ゴミの問題に関しては、警察が対応してくれない場合、自治体に相談するのが良いでしょう。
騒音トラブルや異臭トラブルは地域の問題としてとらえられるため、警察よりも自治体のほうが積極的に対応してくれる可能性が高いです。
自治体にしっかりと対応してもらうためには、同じく騒音トラブルや異臭トラブルで困っている被害者をできるだけ多く集めて相談に行くと、早急に対応してくれる可能性が高くなります。
刑事上は何の罪にも問うことができず、警察では対応できない嫌がらせ問題はたくさんあります。そのような場合は刑事問題ではなく民事上の問題として解決するしかありません。
例えば、騒音トラブルや異臭トラブルは刑事責任が認められなくても、損害賠償請求などをすることは可能です。また、怪文書やSNS上の嫌がらせなども警察では対応できなくても民事事件として民事上の責任を問うことは可能です。
そのためには法律のプロである弁護士に相談するのがベストです。弁護士に相談することで、民事上のどのような責任を問うことができるのか、民事として訴えるためにはどのような証拠を集めるべきなのかをアドバイスしてもらえます。
また、訴える際にも代理人として交渉してもらえますし、素人では作成が難しい専門書類の作成も任せることができます。
警察に対応してもらえない案件は民事上の責任を追及していくことになりますが、その際にも犯人を特定するための証拠や被害を証明する証拠は必要です。そのため、調査のプロである探偵への相談も必要不可欠になります。
嫌がらせの犯人を特定し、民事責任を問えるだけの証拠を集めれば、弁護士と連携して、民事訴訟や示談で解決することが可能になります。
なお、嫌がらせ問題はできるだけ早く証拠収集を開始することが解決のポイントになります。時間が経ってしまうと嫌がらせ被害の状況が不鮮明になってしまいますし、犯人も自分が犯人であるという証拠を隠滅する時間ができてしまいます。
嫌がらせ被害を警察に相談しても対応してもらえない、となったらすぐにでも探偵に相談して調査を開始してもらうのが良いですね。
探偵に調査を依頼すれば、法に触れることなく尾行や監視を行い、犯人に関する証拠や犯人が明確な嫌がらせ行為をしている様子を捉えてくれますので、民事上の責任を問う際にとても有効です。
「自分が受けている嫌がらせ行為はれっきとした犯罪だから警察が動かないのはおかしい!」と考えている方も多いかと思いますが、現実には警察は個人の嫌がらせ被害に人員を割く余裕はなく、嫌がらせ行為自体も犯罪として立件するのが難しいのです。
しかし、だからといって泣き寝入りすることが正しいわけではありません。
警察に対応してもらえなくても、民事上の責任を問うことは可能ですし、そのために弁護士や探偵など専門家に相談しながら解決していくことは十分に可能です。
まずは、自分がどのような解決を求めているのか整理してみましょう。「嫌がらせ行為を辞めさせるだけでいい」「損害賠償請求をしたい」など、自分が求めている解決の方法を整理し、そのうえで弁護士や探偵に相談して対応してもらうのがスムーズでしょう。