カテゴリ:ご近所トラブル
近隣住民から嫌がらせを受けたときの正しい対処法をご存知でしょうか。近隣からの嫌がらせに対して、対処法を間違ってしまうとさらに嫌がらせがエスカレートしてしまい、傷害事件や殺人事件にまで発展してしまう危険性もあります。
嫌がらせされたことに感情的になってしまうと、問題の解決が遠のく上に、あなた自身が加害者になってしまう恐れもあるため、法律に則って正しく対処していきましょう。その際、警察に相談するにしても、裁判で慰謝料や損害賠償請求をするにしても、嫌がらせの証拠を集め、犯人を突き止めてから行動に移すことが大切です。
今回は、どのような行為が法律的にも嫌がらせと認められるのか、嫌がらせを受けた時に頼れる相談先、そして近隣からの嫌がらせに対して円満かつ迅速に解決していくために重要なポイントをまとめていきます。
近隣トラブルがきっかけで近隣住民から嫌がらせを受ける場合がありますが、その嫌がらせ行為に対してどのような罪が問えるのでしょうか。
よくある嫌がらせ行為の事例をもとにそれぞれ見ていきましょう。
自宅の玄関やマンション・アパートの掲示板などに嫌がらせの張り紙をされるという嫌がらせ行為を受ける場合があります。そもそも他人の家屋に張り紙をする行為そのものが、軽犯罪法1条33号に違反する行為です。
さらに、張り紙の内容に「○○は不倫している」、「○○はドラッグをやっている」「○○は詐欺師だ」などと本人の社会的評価を低下させるような内容であった場合は、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。
なお、名誉毀損罪は不特定多数の人目に触れる場合に成立し、書かれている内容が具体的ならばそれが嘘でも本当の事でも罪に問われます。書かれている内容が「バカ」「アホ」など具体的でない場合は、侮辱罪にあたる可能性が高くなります。
怪文書として自宅に嫌がらせの手紙が送られてくる場合もあります。
自宅に送られてくる場合、不特定多数の人目にはつかないので名誉毀損罪にはあてはまらない可能性が高いですが、内容によって「家に火をつけてやる」「子供を誘拐してやる」「殺してやる」など、生命、身体、自由、財産を脅かすようなことを書いた場合は脅迫罪になる可能性があります。
また、怪文書を投函するために、他人の敷地や建物に勝手に立ち入れば住居侵入罪または建造物侵入罪に問われます。
しつこい無言電話やいたずら電話を受けるという嫌がらせも考えられます。しつこく無言電話などを受けると、いつまた無言電話をかけられるか恐怖を感じてしまい、怖くて眠ることができずに体調を崩したり、恐怖心からうつ病になってしまったりすることもあるでしょう。
このように、精神的な障害を負わせた場合には、傷害罪が成立する可能性があります。また、いたずら電話によって被害者に危害を加えるような内容を発言している場合は、脅迫罪が成立する可能性があります
近隣住民から受ける嫌がらせとして、動物の死骸やフン、ゴミなどを家の敷地内に投げ入れられたり、送り付けられたりすることがあります。
かなり陰湿な嫌がらせですよね。もしこのような嫌がらせをされたら、この行為は廃棄物処理法16条に違反することになります。もちろん、懲役や罰金が科せられる可能性があります。
近隣住民からの嫌がらせとして、最寄駅から自宅まで後をつけられる、家の中をのぞき見される、家の中や外の写真を大量に取られる、ゴミをあさられる、などのストーカーまがいの嫌がらせを受ける場合があります。
このような行為は明らかにストーカー規制法に違反することになりますので、刑罰の対象になります。なお、ストーカー規制法は同性であっても適用されますので、同性からのストーカー行為の嫌がらせだからといって諦める必要はありません。
明らかに犯罪とわかる行為ですが、家のものを盗まれるという嫌がらせも珍しくありません。
自宅の庭に植えてある果樹の実を盗られたり、庭においてあるホースやスコップなどの備品を盗まれたり、干してある下着を盗まれたりというのは立派な犯罪です。
このような行為は窃盗罪に該当します。ただ、確たる証拠がなければなかなか警察が動いてくれないというのも現状です。
近隣住民同士の井戸端会議で、ありもしないうわさ話を広められてしまったという経験はないでしょうか。
根も葉もないうわさ話が広まってしまったことで、その地域に住みにくくなったり、仕事に悪影響が出たり、子供の交友関係にまで悪影響が出てしまうこともありえます。
このように、根も葉もないうわさ話によって名誉を傷つけられた場合には、名誉毀損罪が成立する可能性があります。名誉毀損は、基本的に不特定多数の人に事実を指摘することによって成立する犯罪とされていますが、仮に少数の人に事実を伝えた場合であってもそこから多数の人に広まっていく可能性があれば、名誉毀損罪は成立するとされています。そして、この場合の「事実」というのは、真実かどうかは関係なく、完全にでっち上げの作り話を広められた場合にも成立する罪です。
近隣から嫌がらせを受けてしまった際、多くの方があまり大事にしたくないという心理から、当事者同士で解決しようとしてしまう傾向にあります。しかし、当事者同士の話し合いではどうしてもお互い感情的になってしまいますし、相手の神経を逆なでしてしまい、かなり危険な状態になってしまうリスクもあります。
そのため、近隣からの嫌がらせに安全に対処していくためには、以下のような専門の相談窓口を利用することをお勧めします。
賃貸マンションや賃貸アパートに住んでいる場合は、不動産管理会社に相談してみましょう。相談をする際はどのような嫌がらせを受けていて、いつから始まっていて、犯人は誰と思われるのかというのをわかりやすく説明できるようにしておくと良いでしょう。
管理会社に相談すれば、共用部分に注意喚起の張り紙を貼ってもらうことができますし、嫌がらせの犯人がわかっていれば、間に入って直接注意をしてくれる可能性もあります。そして、嫌がらせをしているという確固たる原因や証拠がつかめた場合は、強制退去を迫ってもらうこともできます。
どこまで強く嫌がらせの犯人に対してコミュニケーションをとってくれるのかは管理会社の方針によっても異なりますが、まずは相談してみるのがお勧めです。
戸建て住宅に住んでいる場合は、地域の自治会や町内会に相談してみてください。町内会では地域全体への注意として回覧物という形で注意喚起をしてくれますし、自治会では自治会長や役職者を通じて直接、嫌がらせをしてくる犯人に対して注意をしてもらえる可能性があるため、角が立たない形で円満に解決できる可能性が高いです。
こちらも相談自体が無料のため、100%完璧に対応してくれるかどうかは保証できませんが、できうる限りの対応はしてくれるはずですので、まずは相談してみると良いでしょう。
近隣からの嫌がらせがストーカーや窃盗、住居侵入などの犯罪に該当するレベルに達している場合には、警察に相談することも考えたほうがいいでしょう。
嫌がらせをしてくる人の中には、「ちょっと相手を困らせたい」くらいの軽い気持ちから嫌がらせをしてくる人もいますので、警察に事情聴取をされるというだけでもかなり効果がある場合もあります。警察が介入しているというだけでも、自分のしていた行動の事の重大さに気が付いてくれる場合もあるのです。
もし、いきなり警察への相談は気が引けるということであれば、警察相談専用電話ダイヤル(#9110)を利用してみましょう。警察相談専用電話ダイヤル(#9110)は、近隣トラブルや嫌がらせなどの事件性がそこまで高くないような案件に対しても親身になって対応してくれる機関です。事件性が薄かったとしても気軽に相談することができ、専門家からアドバイスがもらえるというメリットがあります。
ただ、明らかに事件性が高い、今後身の危険を感じる、ということであれば、迷わず警察に相談し、被害届を出しましょう。警察にしっかりと対応してもらうためには、嫌がらせを受けている証拠やその被害の証拠、犯人である証拠など様々な証拠が必要になることもありますので、前もって調査の専門家である探偵に相談しておくことも念頭に入れておいたほうがいいでしょう。
マンションの管理会社や自治会、警察に相談しても近隣からの嫌がらせが解決しなかった場合は弁護士を頼ってみるのもお勧めの方法です。有料にはなりますが、専門的な観点からアドバイスをもらえますし、親身に相談に乗ってもらえます。また、嫌がらせ行為は法律に反する行為である場合は、法的手続きまで一任することが可能です。
嫌がらせを受けていて、それが法律に反するという十分な証拠が集まっていれば、内容証明を送ったり、管理会社を通じて強制退去の勧告を行ってもらったりすることもできますし、嫌がらせの内容によっては損害賠償請求することも可能です。
ただ、嫌がらせの明確な証拠がなかったり、犯人であると特定できる証拠がなかったりすると、法的手続きが取れないため、あらかじめ調査のプロに相談しておくことを考えておくべきでしょう。
ここまででも軽く触れてきましたが、近隣からの嫌がらせや近隣トラブルを解決するためには、証拠が必要不可欠です。証拠がなければ、警察も刑事告訴に踏み切れませんし、弁護士も損害賠償請求などの民事訴訟を請け負うことができないのです。
つまり、近隣からの嫌がらせや近隣トラブルにおいて「証拠」は何より重要になります。そして、その証拠を掴んでくれるのが探偵です。
探偵であれば、嫌がらせの被害を立証するだけの確固たる証拠を掴むことができますし、警察のように、事件性が低いからという理由で調査を断ることもありません。探偵は、近隣からの嫌がらせや近隣トラブルにおいて強力な味方となってくれる存在なのです。
ここまでで、近隣からの嫌がらせや近隣トラブルの相談先についてご紹介してきました。少なくとも法律の知識がそこまで深くない友達や知人に相談するよりは、これらのうちどれかに相談する方が解決につながるでしょう。
ここまで読んだ中でどこに相談すればいいか悩んでいる方もいるかもしれませんが、相談先は1つに絞る必要はありません。むしろ、複数の相談先に相談した方が、効果的な対策がとれるはずです。
中には相談が無料な相談窓口もありますので、濫用はしてはいけませんが、今抱えている近隣からの嫌がらせや近隣トラブルをいち早く解決するためには、いいなと直感で思うところから順番に相談してみるのが良いでしょう。
近隣からの嫌がらせがなぜ厄介なのかと言えば、近隣だからこそのもともとの近しい関係性があるからです。
そのため、通常の嫌がらせよりも近隣からの嫌がらせに対処する際はいくつかの注意点があります。このいくつかの注意点を知っておくだけでも極力損をせず、できるだけ円満かつ迅速に話を進められ、なおかつ自分にとって有利に進められる可能性がありますので、一度注意点やポイントを確認してみてください。
近隣からの嫌がらせへ対処するには、何よりも嫌がらせの証拠を集めることが大切です。警察は証拠がなければ動いてくれませんし、嫌がらせの証拠がない状態で裁判所に申し立ても民事裁判で訴えることもできないのです。
そしてそもそも、証拠がなければ犯人も自分の犯行だと認めることはまずありえませんので、直接話し合うことも難しくなるでしょう。
そのため、近隣からの嫌がらせへ対処をする際には、まず嫌がらせの証拠を集めるようにしましょう。自分でもできる証拠集めの方法としては、防犯カメラの設置が挙げられます。防犯カメラであれば、自分で夜中中見張る必要もないですし、証拠として映像が残ります。
先ほど、嫌がらせの解決のためには被害の証拠収集が重要であることと、自分でできる証拠収集の方法として防犯カメラの設置をご紹介しましたが、できれば探偵に依頼するのがベストです。
防犯カメラももちろん録画はできますが、画質が悪いことも多く、裁判で認められないケースが多いからです。また、防犯カメラだとどこに設置されているか犯人に知られてしまうと、その死角を狙って嫌がらせをされる可能性もあるのです。
探偵であれば、専門的なスキルと専門的な機材を使って、長時間にわたってある程度離れた場所からでも証拠を掴むことができます。また、嫌がらせをする人間は危険人物である可能性が高いためあなたが証拠収集をしていることが犯人にばれると、それによって犯人が激怒し、犯人があなたに直接危害を加える危険性もあります。
そのため、犯人を見つけようと周辺を見張ったり、夜中中家の周りを見張ったりすることはかなり危険ですので、できるだけ控えていただければと思います。
近隣からの嫌がらせを受けた方は、始めどのように対応すればよいのかわからないと思いますし、誰にも相談できずに精神的にも追い込まれてしまうでしょう。しかし、そのような状況こそ、一人で悩むのではなく、周囲の信頼できる人や警察、弁護士などの専門家に状況を説明してアドバイスを受けるようにしましょう。
また、警察や弁護士に相談しても解決できなかったとしても、諦める必要はありません。被害の証拠と犯人さえわかっていれば、正しい対処をすることができます。
自分お一人で犯人と立ち向かうのはかなり危険ですし、効率も良くないため、調査のプロである探偵に相談し、これ以上余計な被害が出る前に犯人をつきとめて嫌がらせを解決していきましょう。