カテゴリ:ご近所トラブル
新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務や在宅ワークが増えたことに伴って、隣人トラブルも増加傾向にあるようです。
特に、マンションは上下左右に隣人がいるため、トラブルになりやすいでしょう。隣人とトラブルになることで生活しにくくなりますし、神経質な人はトラブルが原因でうつ病になってしまうこともあります。
マンションの隣人トラブルに悩んでいる人は、一刻も早く解決策を見つけたいですよね。そこで今回は、賃貸マンションに特化して、隣人トラブルの事例や解決法、隣人トラブルに巻き込まれないための予防策をご紹介します。
マンションでの隣人トラブルで一番多いのが、騒音によるトラブルだと言われています。一般的に賃貸マンションは、戸建て住宅よりも床や壁が薄くなっているケースが多く、生活音が周りに伝わりやすいのです。
本人は「これくらいなら大丈夫だろう」「自分なら気にならないから大丈夫」と思っていても、周りの人からすると「うるさくてガマンできない!」と感じていることは珍しくなく、それが積み重なってトラブルになるのです。
ここでは、騒音トラブルについて、いくつか具体例を出して解説していきます。
マンションで暮らしていると、どうしても上の階から足音が少なからず聞こえてきます。大人が普通に歩くくらいの足音ならばそこまで気にならないですし、仕方がないと思ってもらえますが、子どもが走り回っている音は耳障りに聞こえる人も多いでしょう。
また、生活習慣が違うことが原因で足音が騒音トラブルになることもあります。上の階に住んでいる人が夜勤の仕事をしていると、早朝に帰宅して風呂やトイレ、洗濯をすることになりますので、「いつも早朝に騒音が酷くて朝早く起こされてしまう!」などのトラブルになってしまうのです。
人の話し声も生活していくうえで仕方のないこととはいえ、トラブルの原因になります。
・大きな声で電話をしている
・大声で夜中に夫婦喧嘩をしている
・赤ちゃんの夜泣きが酷い
などの場合は、迷惑と感じる人も多いでしょう。
また、マンションの廊下や共用部分での話し声は意外に響くので、隣人同士が集まって井戸端会議をすることが多い方は自分が騒音を発生させているかもしれないと意識しておいたほうが良いかもしれません。
掃除機、洗濯、テレビなどの生活音もトラブルの原因になります。
日中であれば問題ないのですが、夜中や早朝に掃除機や洗濯をしていると、寝ている人も多いのでトラブルになりやすいです。特に、休日の朝は遅めの時間まで寝ている人も多いので、休日に掃除機や洗濯をする際は時間帯に特に気を遣ったほうがいいでしょう。
また、テレビの音量も大きすぎないかどうか気にしておいたほうがいいですね。
ピアノやギター、ドラムなどの楽器は、音量が大きいこともあり、マンションでの騒音トラブルが絶えません。楽器をはじめ大きな音を出すことについては、マンションであらかじめルールが決められていることがほとんどで、楽器を演奏してよい時間帯が定められているのが一般的です。
平日10時〜19時、土日祝日は11時〜18時など、他の住民に迷惑がかからないようにルールが決められているはずですので、最低限守っていく必要があります。
ただし、最近では平日でも自宅の部屋で在宅ワークをしている人も増えていますので、たとえ時間内であったとしても音量には配慮していくようにしましょう。
マンションでの隣人トラブルで騒音トラブルはトップで多いですが、他にもトラブルの原因になることはたくさんあります。
価値観や生活習慣、家族構成の違う人たちと同じ建物で生活するということは、想像している以上にとても難しいことだと実感するでしょう。
この章では騒音以外によくある隣人トラブルについて紹介していきます。1つ1つは大きな問題にならなさそうなものですが、放っておくと大きなトラブルに発展する可能性がありますので、トラブルが起きたらすぐに対処するようにしていきましょう。
マンションには駐車場が付いていますが、この駐車場の使い方で隣人トラブルになることがあります。よくあるのが「自分の駐車スペースに隣人の友達が、勝手に車を停めている」というケースです。
駐車場や駐輪場は自分や家族が使うスペース分しか契約していませんが、友達を招いた時などに「数時間だから問題ないだろう」「ちょっとくらいいいよ」と勝手に判断し、他の人の駐車場や駐輪場を使わせてしまうと、後々トラブルになります。
マンションには家族構成や価値観の違った人たちがたくさん集まって生活していますので、人間関係のトラブルもつきものです。
少し目立つことをしたらすぐに噂や悪口として広まっていきます。
すれ違っても挨拶しない人や無愛想な人は人間関係のトラブルに巻き込まれやすいので注意しましょう。普段から隣人たちと良好な人間関係を築いておけば、もし何かトラブルになったとしても大事にならずに解決できます。
タバコのニオイもトラブルの原因になることが多いです。タバコは吸う人と吸わない人でニオイに対する許容範囲がかなり大きく違っています。
タバコを吸う人は多少のニオイが気にならないことも多いですが、吸わない人は少しのニオイでも気になりますし、不快に感じてしまいます。
部屋にニオイが付くのが嫌だからとベランダなどで喫煙している人も多いですが、タバコの煙が上の階や隣の部屋の窓から室内に入ってしまうこともありますし、洗濯物にニオイがついてしまうことあります。
また喫煙者のマナーが悪く、ベランダから下にポイ捨てしたり共用部分でタバコを吸ったりしてトラブルの原因になるケースもあります。
ゴミ出しのマナーについてもトラブルの原因になることがあります。
引っ越してきたばかりでゴミの出し方や分別、出す曜日などがわからずトラブルになることもあります。ただ、これはルールを知ってもらえば解決するのですが、ルールを知っていてあえて守らない人がいる場合、大きなトラブルになります。
分別の仕方を守らない、出す時間が早すぎるOR遅すぎるなどはトラブルになりやすいです。ゴミ出しのルールを守らない人がいると、全員分のゴミを回収してもらえないこともあるので、ゴミ置き場が不衛生な状態になっていきます。
ゴミ出しのルールを守らずにゴミを出している人を特定することは簡単ではないのでとても厄介な問題です。
さらに、捨てられたゴミにはプライバシーが含まれていますので、ゴミを通じたプライバシーの侵害が原因でトラブルが起きてしまうケースもあります。
毎日を過ごすマンションで隣人トラブルになってしまったら安心して生活していくことが難しくなってしまいますよね。
では、皆さんはどのように対処していくでしょうか。
ここでは、万が一隣人トラブルに巻き込まれてしまった場合の相談先や対処法について解説していきます。
隣人トラブルになってしまったら、まずは証拠を保存することを考えましょう。
迷惑を被っている状況を録音・撮影しておくことで、第三者に相談するときに役に立ちます。証拠があれば相談した相手もあなたのことを信用しやすいですし、対応もスムーズにすることができます。
ただし、証拠を集めたいからといってトラブルになっている相手の敷地へ無断で立ち入ってしまうと不法侵入になる危険性がありますので注意してください。
隣人トラブルになってしまったら一番相談しやすいのはマンションの管理人でしょう。
管理会社に相談すれば、共用部分に張り紙を貼って警告を促してくれたり、トラブルになっている住人に直接連絡してくれたりする場合もあります。
ただし、管理会社によっては契約の時点で「住人同士のトラブルには一切介入しない」と書面で交わしている場合もありますので、まずは管理会社が対応可能かどうかを確認すると良いですね。
隣人トラブルが酷くなった場合、住んでいる地域の自治体の市役所や区役所に相談するという方法もあります。
各自治体には日常生活に関する相談ができる「生活課」という窓口があり、隣人トラブルについての相談も受け付けてくれます。
相談と言っても自治体としてはトラブルの原因となっている相手と直接交渉をしたり、問題解決のための手続きをしたりという対応はできません。あくまで相談された内容に対して助言をするという形になります。
ただ、ゴミ問題や騒音トラブルなど地域に広く影響があったり多くの人が迷惑を被っていたりする問題については積極的に対応してくれることもありますし、内容によっては専門家を紹介してもらえることもあります。
管理会社での対応だけでは難しい場合は自治体にも相談してみると良いでしょう。
隣人トラブルがエスカレートしてしまうと、犯罪に巻き込まれそうになったり、身の危険を感じたりする場合も出てくるかもしれません。そのような場合は迷わず警察に相談してください。
また、隣人トラブルがきっかけで怪文書を送られたり車や自転車に傷をつけられたりする被害を受けることがありますので、その場合も警察に行って被害届を出してください。
警察に相談する場合、実際の事件になっていないときはなかなか対応してもらえませんので、その際はまず「警察相談専用電話#9110」に電話をかけてみましょう。警察相談専用電話では犯罪や事故には至っていない場合であっても、ストーカーや隣人トラブルなどの相談に対応してくれますし、状況に応じて警察の他の専門的な部署につなげてくれることもあります。
参考記事:嫌がらせで警察は対応してくれる?警察に動いてもらうためのポイント
警察では刑法に関わるような内容の時に対応してもらえますが、刑法ではなく民法が関わっているトラブルになっていることも多いです。その場合に頼りになるのが弁護士です。
例えば隣人トラブルが騒音が原因の場合、騒音レベルが民法709条に基づく「受忍限度」を超えていれば、法律上、不法行為として裁判所に訴えることができます。裁判所でそれが認められれば相手側に騒音行為の差し止め請求や損害賠償の請求をすることができるようになります。
それらの手続きはすべて法律の知識がないとできませんので、弁護士に依頼して損害賠償請求の手続きなどを進めてもらいましょう。
警察に相談する際も、弁護士に相談する際も、隣人から受けている被害や嫌がらせの内容の証拠が必要になります。
証拠がなければ警察は被害届を受理することも難しくなりますし、弁護士も証拠がない状態だと裁判で訴えていくことが難しくなってしまいます。
その場合は、探偵に嫌がらせ調査や隣人トラブル調査を依頼して証拠を掴んでもらうのがベストです。
トラブルの被害の証拠や嫌がらせの証拠は自分でも集めることはできなくありませんが、相手を刺激してしまう恐れがありますし、裁判では認められない証拠しか集められないことも多いので、調査のプロである探偵に依頼してしまったほうが効率的で安全です。
隣人トラブルになるとついやってみたくなってしまうのが「壁を叩いて迷惑をアピールする」ことでしょう。
生活音や騒音がトラブルの原因である場合、うるさいと感じたタイミングで部屋の壁を叩いて迷惑していることをアピールする方法も考えられますし、実際やったことがある人もいるかもしれませんが、この方法はお勧めできません。
壁を叩かれた方は、自分が出している音がうるさかったかなと気付けるので、効果がないわけではありませんが、壁を叩かれたことに逆上して部屋に怒鳴り込んできたり、そのまま暴力を振るわれたりするリスクも抱えています。
お互い安全に解決できるよう、壁を叩くという解決方法はギャンブルのようなものなので絶対に取らないようにしてください。
隣人トラブルになったときの対処法を心得ておくことはとても大切なことですが、そもそも隣人トラブルを起こさないように気を付けることもそれ以上に重要です。
ここでは、隣人トラブルを未然に防ぐためのポイントをご紹介していきます。
隣人トラブルを未然に防ぐうえでもっとも重要なのが、引越しする前の確認です。隣人トラブルが発生した時に管理会社が対応してくれるかの確認も含め、マンションのあらゆる面で確認をしておくことが大切です。
たとえば、家族構成が自分の家族と似通っているか、生活習慣が夜勤の人が近隣にいないか、ゴミ捨て場などの共有スペースは清潔か、現時点でトラブルになっていることはないか、など、引っ越した後に自分がトラブルに巻き込まれる可能性ができるだけ低いことを確認したうえでそのマンションに引っ越しをしましょう。
なお、これらの確認はご自身ではなかなか厳しいですし、夜中や明け方にもチェックをした方が良いので、探偵に引越前調査をお願いしておくとより確実です。
引っ越し作業のときは、どうしても大きな音や振動が起こってしまいます。そのため、引越前に必ず左右お隣と上下に住んでいる人にご挨拶に行きましょう。
挨拶もなしにいきなり引っ越し作業で大きな音を立ててしまうと、騒音に感じてしまいますし、「常識のない人が引っ越してきた」と思われて簡単にトラブルに発展してしまいます。
引っ越しの挨拶はできれば作業が始まる前か、遅くとも翌日までに済ませておくのがベストです。
自分がトラブルのきっかけを作って相手を不快にさせ、さらに大きなトラブルに発展するケースも珍しくありません。そのため、普段から自分がトラブルの原因を作らないように気を付けておくことも大切です。
エントランスやエレベーターの中、駐輪場・駐車場やゴミ捨て場など、共用部分を使う時は丁寧かつ清潔に使うよう心がけましょう。また他の住人が明らかに眠っていると思われる時間帯に行動する場合はできるだけ音を立てないように配慮することも重要です。
マンションに住んでいれば一度や二度くらいは隣人トラブルに巻き込まれることがあるでしょう。同じ建物に住んで距離感の近い存在だからこそ、あまり大事にして騒ぎ立てるのは賢明ではありません。
そのため、隣人トラブルになってしまったと感じたら、大事になる前にできるだけ早く対処していくことが大切なのです。そして、その際は当人同士で解決しようとせず、第三者や専門家の力を借りながらできるだけ穏便に解決していきましょう。